「言葉で多くを語らずに、アイテムによって性に関することは恥ずかしくないと伝える表現の仕方がめっちゃかっこいいと思う」(HIBARI)
今日はTXAのアイテムをたくさん着ていただきましたが、いかがでしたか?
MINOR:嫌な気持ちにさせるものが一つもないよね。生地もすごくちゃんとしていて。
MONICA:全部があたたかい。性愛がテーマだけど、「人類」とか「生命」みたいな感じがしました。
TXAというブランドについては、どのような感想を持ちましたか。
HIBARI:性に関することって大切なのに隠されがちだけど、ここ(TENGA社のオフィス)に来てみて、こんなにもそれを楽しんでいる大人の方たちがいっぱいいるという事実がかっこいいと思った。
MONICA:「恥ずかしいことじゃない」というメッセージがオフィスからも伝わってくるよね。クリエイターの人を巻き込んで視点を変えて表現することによって、みんながもっと性に関することをオープンに話しやすくなるというTXAの発想も、今の時代らしいなって感じます。
HIBARI:おいらは「LOVE ME TENGA」っていうメッセージがプリントされたTENGAのTシャツを普段から着てるんだけど、面白がられたり、かわいいって言われたり、いろんなリアクションをもらうんです。言葉で多くを語らずに、アイテムによって性に関することは恥ずかしくないと伝える表現の仕方がめっちゃかっこいいと思う。
性に関することが、隠されていたり、恥ずかしいこととされていたりするという言葉がみなさんからありましたが、性に関する話題の語られ方について気になっていることはありますか?
MINOR:私もある。ただ、恥ずかしがっている人に無理やり「オープンにすればいいじゃん」とは言いたくなくて。あくまでそれぞれでいいけど、恥ずかしいことではないというのは言っていきたいですね。
HIBARI:おいらはオープンに話す方だけど、それが誰かを嫌な気持ちにさせるかもしれないから、どこにラインを引くべきか、ずっと迷いながら生きてます。おいら自身だって、OKな範囲が広めなだけで、隠したいことや、限度はある。だから性に関することをどこまでオープンにするかは、人それぞれでいいってことは忘れずにいたいし、全員がオープンでいるべきとも思わない。だけど、性に関する事実をもっと教わることによって、怖さや恥ずかしさとか、本来なくていい悩みは減るような気がしています。
「どうしたらいいかわからない気持ちや、抑えきれないものを全部ファッションで消化していた」(MINOR)
TXAのコンセプトにとても共感されていましたが、普段みなさんが服を選ぶうえで大切にしている価値観について伺いたいです。
制服って、特にきちんときれいに着ることを求められる服ですよね。
MINOR:わかる〜。ダメージ加工だ。
MONICA:私は毎週上履き洗ってたなー(笑)。私は形で言ったら、大きいTシャツよりも小さいTシャツを着てる方が自分らしく感じる。だから子ども服売り場で120サイズのチビTを探したりします。あとは、人と違うことをするのが好きで、誰かと服が被りたくないから、友達に「服どこで買ってるの?」って聞かれても「内緒」って言う(笑)。日本って、人と違うことが恥ずかしいという風潮があるじゃないですか。でも、ファッションって自由だから、自分が納得いけばそれでいいと思ってて、自分のオリジナルであることや、「私はこれがいい」と感じる気持ちを大事にしています。
MONICAさんは、自分が影響を受けることだけじゃなくて、人に影響を与えることに対しても意識的なのかなと思いました。
三人がどんなふうに、それぞれ自分らしいファッションのスタイルを確立していったのか、気になります。
救われたと感じたのは、どんなときですか。
HIBARIさんはいかがですか?
MONICA:ひばちゃんスタイルは「考えるより感じる」なんだね。
HIBARI:恋人じゃなくても、TPOとか、他の人の視線を気にして服を選ばなきゃいけないときってすごく大変で。でも、たとえば仕事で大事なプレゼンテーションがあるときに、影響を与えられるような見た目でいることが武器になったりするのもわかる。自分らしくあっていいけど、周りからの見え方と、自分がどう見せたいかのバランスって難しいなと思います。
MONICA:私も、何を着たらいいかわからなくなった時期があったな。昔から、「派手な服=MONICA」みたいなイメージを持たれていて、あとは面積が小さめの服ばかり選ぶ癖があったから、学生の頃は「MONICAって夏になるといつも水着着てるよね」って言われたりしてました(笑)。それもMONICAのスタイルの一つではあったんですけど、そういうイメージを周りの人に言われると、どんな服が似合うのかわからなくなってきて。この2年ぐらい、夏は白Tとデニムで過ごしてました。あとは私も付き合ってた人に、昔からスニーカーしか履かないのに「スニーカーばっかりじゃなくて、ヒールを履いてほしい」って言われたりして。
MONICA:そこから自分のスタイルについて考え込んでいたんですけど、今年初めてニューヨークに行って、そこでファッション好きのお姉ちゃんが仲良くしてくれて。MONICAという名前は漢字で「萌仁花」って書くんですけど、そのお姉ちゃんに「『萌』のかわいげがある感じと、カチッとしたエッジが効いてる『仁義』のイメージ。それと『花』のぱっと明るいイメージ。それがMONICAのスタイルなんだね」って言われたんです。その言葉で、私にとってのスタイルって、人からもらったり、自分とは違うものになったりするものじゃなくて、自分の中に既にあるものなんだって気づいて。そこから「これが自分だな」と思えるスタイルが確立されました。
「人と違うことは特別じゃないし、一緒である必要がないということを、もっと体現したい」(MONICA)
最後に、モデルというお仕事を通じて、それぞれに表現していきたいこと、伝えていきたい価値観を伺いたいです。
HIBARI:おいらはいわゆる「モデル体型」よりは大きめだという自覚があって。それによってお仕事をいただいていたりもするし、「今の体型に自信を持っていていいですね」っていうメッセージをもらうこともあるんですけど、たまたまこの体型でこの顔だっただけで、根本的にはそこにこだわっていないんです。おいらは同性愛者でもあって、今までの世の中の価値観では首を傾げる人もいるような要素を持ってはいると思う。でも、おいらがモデルをやって楽しく生きていることによって、幸せは自分でつくれるってことを伝えられたらという思いがあります。自分がナチュラルでいることが、誰かに影響を与えられる可能性があると思いながら生きています。
MINOR:モデルとしてというか、私自身としてやっていきたいことなんですけど……生きづらい世の中じゃないですか。
そうですね。